
日本には約70万の橋梁があります。10年後の4割以上の橋梁は、建設後50年以上経過する老朽化橋になるとみられています。
道路法第42条では「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に師匠を及ぼさないように努めなければならない」と定められています。
2013年の道路法改定でそういった老朽橋の安全を確保するため、道路橋や横断歩道橋などの定期点検要領を定めました。橋梁点検で問題となっているのが橋梁点検作業に伴う労力やコストです。
国土交通省は橋梁点検に関わる問題点を改善しようと、2019年度より赤外線による橋梁点検効率化の方針を進めます。これまでの橋梁点検の経験から見える、赤外線カメラを搭載したドローンの橋梁点検への問題と課題対策についてまとめています。
橋梁点検の参考にしていただければ幸いです。
Table of Contents(目次)
橋梁点検の義務化と点検コストの問題点
橋梁点検は5年に1度、近視目視により実施するように義務付けられています。
これまでの橋梁点検では広い作業スペースを必要とし、道路の交通規制を行ったり点検作業に伴う労力も必要とした時間とコストがかかるということが問題となっていました。
そこで注目されたのが、ドローン橋梁点検です。
『国土交通省』赤外線導入による橋梁点検効率化
2019年度より、国や自治体が管理する道路橋の老朽化点検を効率化するために赤外線を使い、コンクリートのひび割れなどの破損を確認する手法を導入します。
その点検方法とは、地上から橋桁の底部や橋脚を赤外線カメラ搭載のドローンなどで撮影することです。
赤外線カメラによる点検では、コンクリートが損傷している部分が正常部分に比べて温度ムラが生じる性質を利用したものです。
撮影後は赤外線解析ソフトを使って判定し、異常が疑われれば目視やハンマーを使って詳しく調べます。
橋梁点検を赤外線カメラドローンで実施するための課題と対策
ここからは、ドローン橋梁点検の撮影を行った経験から、課題と今後の対策をまとめています。
- モニター画面が、赤外線では撮影場所の対象物状態が分かりづらくなるため、通常と同様に広く飛び回るのが難しい。
- 雨を浴びた後の構造物や、高温の直射日光を浴びている構造物の撮影を行う際の画像設定や、解析判断が難しい。
- 日影の状態では、撮影方向・高さ、時間帯、天候によって変わり、そのため日陰の部分の撮影を、なるべく回避しながら撮影を行うのが難しい。
- 撮影目的にマッチする赤外線画像の、コントラストや温度設定が難しいと感じられる。
- 解析方法によっては、時間帯を変えて何度か撮影を行うケースがある。
- 撮影した赤外線画像を利用して劣化やひび割れ解析などの診断をするには、専門技術者の解析判断が必要。
課題 ❶ ドローンの近接撮影と操縦技術
橋梁点検は近視目視にて実施する必要があるため、構造物の近接撮影操縦トレーニングとイメージトレーニングが大切になります。
対策
事前に現場確認をすることによって撮影当日の撮影計画およびイメージトレーニングを行います。
安全なドローン飛行を行う準備をするためです。
課題 ❷ ドローン墜落への心理的プレッシャー
橋梁の目視撮影の部分ではGPSが受信できないため、ドローンパイロットは墜落へのプレッシャーをいつも抱えています。
対策
橋梁の部分ごとに目視撮影を行い、細かい撮影を短時間ごとに何回も行う。
撮影当日の強風や悪天候によっては「撮影延期の決断」を行い、無理をしない。
課題 ❸ 熟練ドローン操縦者の育成
橋梁の近接撮影は技術を要するための熟練したドローン操縦者でも難しい空撮になります。熟練したドローンパイロットの養成が必要です。
対策
事業所では、ドローン操縦者を2~3名選出することによって、チームとして協力と分担をすることができます。
チームで時間と場所を具体的に決めて操縦トレーニングを行います。
個人でドローンを業務としている人は、同業者と情報交換をされることをおすすめします。
ドローンや周辺機材の購入コストについて
- Matrice等のドローン用赤外線カメラのみの費用として150万~200万円程度必要(画像スペックで金額が変わります)
- ドローン機体は、50万~300万円(機体の種類、グレード、付属品、オプションによって金額は変わります)
- 赤外線解析ソフトは、1ライセンスで約200万円必要
- 赤外線解析ソフトをスムーズに運用するための、スペックの高いパソコン費用として、20万~50万円程度必要
- 赤外線解析ソフトの保守契約費(毎年10万円程度):保守契約がないとソフトのバージョンUPができない
- ドローンパイロットと赤外線解析技術者を育成するための研修費・直接人件費・移動交通費・宿泊費等
- ドローン墜落事故やプライシー侵害の苦情等に備える為に「第三者への損害補償保険」の加入が必要
- 機体や機材設備への動産保険加入が必要
維持費と費用対効果について
初期の機材購入コスト以外に、下記の項目については毎年の「固定費」として考えなければいけません。
- 解析ソフト保守契約費(毎年10万円)
- 第三者への損害補償保険料
- 動産保険料
ドローン機体や赤外線カメラについては二年間の原価償却を検討したいところですが、墜落したらその時点で終了になります。
動産保険も最初の2~3回は使用できますが、保険を使用するごとに保険料金や免責金額が上がったり、更に墜落や故障が重なると、保険会社から契約を断られるケースもあります。
赤外線カメラが搭載できる産業用ドローン
Matrice 200シリーズ
fa-check-circle産業用ドローン Matrice 200 シリーズ

< 仕様 >
- 機体重量 3.8㎏
- 最大飛行時間 38分
- 最大ペイロード容量 2㎏
Mavic 2 Enterprise Dual
fa-check-circle赤外線搭載ドローンMavic 2 enterprise Dual

< 仕様 >
- 機体重量 1.1㎏
- 最大飛行時間 31分
- デュアルカメラ搭載
① 通常可視光カメラ ② 赤外線カメラ
赤外線画像と通常の可視画像を映せる2画面でのデュアルカメラ搭載型のドローンの特徴は、操縦しやすく安全です。
初期投資にかかる高額な費用・人件費・ランニングコストを考えると、かなりの業務量が必要になると考えます。
しかし、ドローンでの利活用はこれからも発展する市場です。
ドローン活用を普及させていきましょう。
ご 気 軽 に お 問 い 合 わ せ く だ さ い
ドローン全般、3次元データ作成、ドローン操縦代行およびパイロット育成に関することなど、まずはお気軽にお問い合わせください。
- これからドローンを導入したい。業務に合わせたソフトやドローン機材の選定が分からない
- ドローン測量を始めるために何からすればいい?
- ドローン操縦できるスタッフをガッツリ育成したい!
- 3次元測量業務でどのように効率性をあげていくのか
などお客様の相談内容に合わせて、現場での直接のサポート、電話、メール、ZOOMなどのお好みのスタイルで対応いたします。
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