
近年、ドローン技術の進歩は早く、いろいろな分野での利活用は進んでいます。
農業分野でもドローンの利用数は急激に拡大し
農業用ドローンの登録数は
平成29年3月から平成30年12月末までの期間に6倍強増加しています。
これらを背景に農林水産省では
本格的な農業用ドローンの利活用の普及が期待される7分野の計画を策定しています。
- 農薬散布
- 肥料散布
- 播種
- 受粉
- 収穫物運搬
- センシング
- 鳥獣被害対策
今回は、農薬散布の分野で平成28年度より本格的なドローン稼働が始まっている
農薬散布ドローンについてご紹介します。
Table of Contents(目次)
ドローンは農業散布分野にも期待されている!
農業分野における人出不足の現状について
fa-asterisk農業就労人口:414万人(1995年)210万人(2015年)
資料参照:2019年7月 農林水産省 スマート農業の展開について
農業分野でも、高齢化や担い手の減少により労働力不足が深刻な問題となっており
これらの課題を解決できるとして、農業分野でも大きな期待を集めているドローンです。
今後期待されているドローン利用を拡大するために
農林水産省は2019年7月末
無人航空機による農薬等の空中散布について規定していた
「技術指導指針 (農林水産省通知)」を廃止し
農林水産航空協会による機体・操縦者の認定やそれに基づく申請の仕組みは廃止しています。
農林水産航空協会による機体・操縦者の認定や、それに基づく 申請の仕組みは廃止されました。
これは、国土交通省への飛行承認申請は、個々 人からの申請のほか、機体メーカーや販売代理 店等による代行申請でも可能であることを明確に するためのものです。
これまで制定されていた農薬の空中散布における技術指導指針が廃止されました。
さまざまな技術開発や実証実験を経ながら、ドローンは、今後も農業現場でさらなる活用が見込まれています。
これまでは、国や都道府県に農薬散布計画を提出する必要がありましたが
今後は、承認手続きは国土交通省で一元化され、簡素化されるということです。
なぜ農薬が必要なのか
なぜ農薬を散布する必要があるのでしょうか?
もし農薬を使用しないで一般的な栽培したを場合、病害虫等の被害に関する調査では
病害虫防除対策を行わなかった場合の農作物の収穫量と比較すると
大幅に減少することが分かっています。
参照:農林水産省 病害虫や雑草による被害はどの位か
農薬を使用する目的は
- 品質のよい農作物を効率よく安定して生産し
- 生産コストを抑え
- 市場に供給するために不可欠なもの
ということです。
ドローンによる農薬散布について
ドローンによる農薬散布は平成28年より始まっており
ドローンを導入することによって
多くの農作業効率化や生産性の向上が期待できています。
農薬散布でのドローンの役割は、農薬(液剤・粒剤)の面散布またはスポット散布です。
農薬散布分野における現状
参考資料:農業用ドローンの普及に向けて (農業用ドローン普及計画)
現状の農薬散布では
ドローン1フライト10分~20分、農薬は10リットルの散布を行うことができます。
平成28年度から本格的に稼働を始めたドローン農薬散布の作物の割合は
全体の9割弱が水稲・麦類・大豆の土地利用型作物が先行して普及が進んでいます。
農薬散布実績 | |
平成28年度 | 684ha |
平成29年度 | 9,690ha(水稲:8,364ha・麦類:632ha・大豆が614ha) |
露地野菜・果物・お茶などでは、ドローンに適した高濃度農薬が少なく
急傾傾斜で育成される柑橘類の果物では
ドローンパイロットの操縦スキルが求められるため普及が遅れています。
農薬散布分野における今後の目標
参考資料:農業用ドローンの普及に向けて (農業用ドローン普及計画)
目標::散布面積を100万ヘクタールに拡大
【今後の課題・展望】
水稲以外の登録農薬が少ないため、露地野菜や果樹用の農薬登録の拡大が急務となっており、 今後普及の重要な鍵となる。
また、技術的な課題としては、特に露地野菜や果樹等を対象とする場 合のドリフトの軽減や、葉裏への農薬の付着率を向上させるためのダウンウォッシュの強化、散布ノズル の改良等が挙げられる。ピンポイント散布については、病変や害虫の付着部位にピンポイントで農薬を 散布するための
ドローンの飛行時の姿勢制御や位置精度の向上が挙げられる。水田や土地利用型作物を中心としたドローン散布は今後も普及の拡大が見込まれるとともに
今後、登録農薬の増加に伴って露地野菜類を中心とした新たな作物へのドローン散布の拡大が期待さ れる。また、自動航行技術やピンポイント散布技術といった新技術が実装されることにより、これまで操 作が難しかった急傾斜地等への散布や
センシングデータと連携したピンポイントでの防除等の普及が 進めば
さらにドローン散布の活用機会が拡大することが見込まれる。
ドローンで農薬散布を行うための準備
ドローンを農薬散布に利用する際、ドローン操縦に免許は必要ありませんが
農薬散布に必要な飛行許可申請・承認が必要となります。
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また申請には、オペレータ免許(技術認定証)の技術証明や、ドローン機体に関する情報も必要となります。
農薬散布に関係する法律
航空法




- 航空法で決められた飛行規則以外の飛行を行う場合には、国土交通省の許可・承認を取得する必要 。
- 農薬・肥料は危険物、物の落下に該当 するため要許可・承認取得が必要。
農薬取締法
農薬とは、農薬取締法で定められている薬剤になります。
「農薬」とは、「農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)
ドローンにて農薬散布を行うには、散布計画を立てることが重要です。
また、農薬ラベルに記載されている使用方法 を遵守し、ドリフトが起こらないよう注意 することが大切になります。
まとめ
農業分野におけるドローン利用の普及はとても進んでいます。
特に農薬散布用ドローンは
土地利用型作物を中心に利用が急激に拡大しています。
今後は露地野菜や果樹等へのニーズ も高くなっているため
ドローン用農薬の登録拡大や
傾斜のある果樹園などの農薬散布では
ドローン操縦テクニックの向上も必要となります。


作物水準での正確なデータを収集し、農業ミッションや環境モニタリングなどの用途向けに構築されたマルチスペクトル画像システム搭載の高精度ドローン
< P4 Multispectral の特徴>
- 機体重量1487 g
- 最大飛行時間:約27分
- カメラ:6台の1/2.9インチCMOS(可視光イメージング用RGBセンサー1台、マルチスペクトルイメージング用モノクロセンサー 5台を含む)
- フィルター:ブルー・グリーン・レッド・レッドエッジ・近赤外線
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現在のドローン空撮は、測量・農業・映像・インフラメンテナンス・物流・土木・警備・災害対策などの分野で積極的に行われています。これらの分野で活躍しているドローンパイロットは、高度な操縦技術を習得することが必要でありそれは容易ではありません。


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